「旅の指さし会話帳フィリピン」の著者白野慎也が追う渾身のノンフィクション
フィリピン人エンターテイナーの入国が、厳しく抑えられるようになって1年余り。
全国のフィリピンパブが、どんどん消えつつある。
歌に、踊りに、ショーに、つかの間の癒しを与えてくれた天使たちは今どこで、何をしているのだろうか? 
「旅の指さし会話帳フィリピン」の著者・白野慎也が、フィリピーナの“その後の人生”を追いかける、衝撃のレポート。
恋人がスポンサーへ降格される時(シエラ第5回)
★うそがバレたワケ
 7回に及ぶ来日経験で、日本人の彼氏がいなかったということはありえない。僕は隣におとなしく座っている彼氏に気遣いながら、シエラに日本人との恋愛経験について聞いてみた。
「日本に行く度に必ず私に本気で入れあげてくるお客さんがいたわね。でも私が本気で好きになったのは2回目の来日の時に知り合った彼だけね」
「2回目って言うと1999年からの付き合いでもう7年も前の話になるけど、まさかもう付き合いはないよね?」
「いえ、まだずっと続いてるわ。でも今は恋人からスポンサーに格下げしたけどね」
 彼女はちょっと顔をしかめながら言った。
 恋人からスポンサーへの格下げ? 僕がシエラの言葉の意味がわからずに考え込んでいると、彼女はすぐに説明してくれた。
「彼は出会った時は40歳、今は47歳。独身だって言ってたのに、奥さんがいるっていうことが最近わかったの。彼がうそをついてたことが許せなかったのよ。だから彼は私の恋人じゃなくてただのスポンサーだって割り切ったのよ。それで私もフィリピン人の恋人を作ったの」
 なるほど、経済的支援もしてくれていた恋人に妻がいることがわかって、ただのスポンサーとして利用しようと方針転換をしたということらしい。しかしシエラの日本人の恋人が7年隠し通せた『実は奥さんがいる』という秘密がなぜバレたのか興味がある。僕が尋ねるまでもなく、彼女が自ら語ってくれた。
「それがね。今年になってからのことなんだけど、私の友だちが働いているお店に偶然彼が遊びにきたの。それを私の友だちがすぐ見つけたのよ。それで『指名してくれないとあなたがいろんなお店で遊び歩いてるってシエラに言いつけるわよ』って言ったら、彼は『それは勘弁してくれよ』って言って私の友だちを指名したんだって。それで懐かしさもあってか彼はベロンベロンに酔っ払ったらしいのよ。そして『俺、実は結婚してるんだ。シエラには内緒だぜ』って言ったんだって」
 この日本人男性、フィリピーナの口コミネットワークの威力をつい忘れてしまったようだ。それにこの日本人男性、とんだ指名損をしたものだと僕はニヤニヤしながらも同情した。
「そうか、それで奥さんがいることがわかったんだ。それでもずっと関係が続いているっていうのはすごいね。彼に対する今の気持ちは?」
「だまされたとわかってもまだ少しは愛してるわ。愛情20%、憎しみ80%っていう感じかしら。出会ってからずっと、私が日本にいてもフィリピンにいても毎月5万円欠かさずにくれるし、スポンサーとして大切な人であることには間違いないわ。独身を名乗っていた時は『いつか結婚するよ』って言ってたし、妻子持ちとわかってからは『いつか妻と別れてお前と一緒になる』とか言ってるけど、信じてないわ。彼は本当に浮気者でうそつきだってわかったから。だから今はスポンサーとしてキープしておきたいの。新しいビジネス資金もすべて彼から送られてくるものだし、私の最後の切札、介護士資格が取れたのも彼のアドバイスで介護士養成学校に通ったからなのよ。もちろん学費30000ペソは全額彼が出してくれたわ。それからね。私がカラオケでなく、レストランでウェイトレスとして働いているのも彼のためなのよ」
「彼のためっていうと?」
「カラオケだといろんな男に言い寄られて危ないから、もう少しきちんとした場所で仕事してくれないかって頼むのよ。レストランなんかどうだって言うからあの日本レストランで働き始めたの」
 なるほど、日本レストランで働いていたのも日本人の彼氏のためだったのか! 
(つづきは次回に)
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by webmag-c | 2006-10-08 20:44 | シエラ5 恋人からの格下げ